仙台市医師会報2008.6 No.528より

ハナミズキ

5月になると仙台でも街路樹や住宅地のハナミズキが一斉に咲きはじめる。この花と最初に出会ったのは北米の東海岸一帯であった。冬の厳しい寒さから解き放されたように春になると木全体が白やピンクの花でおおわれ、真っ青な空に映えるのは感動的であった。Dogwoodと教えてもらったのだが、花の持つ美しさとはかけ離れたネーミングで違和感を覚えた(総包と呼ばれる花弁様のものが犬の耳に似ているため名付けられたそうだ)。日本名ハナミズキ(花水木)というのを後に知ったが、春に芽をふくとき多量の水を吸い上げ、枝を折ると樹液がしたたるのが由来という。

明治の末に東京市長の尾崎行雄が日米親善のため桜の苗木をワシントンへ贈り(有名なポトマック河畔の桜)、その返礼として大正4年、この木の原木が東京市へ贈られたのが日本へ入ってきた最初とのこと。仙台でも宅地開発や街路樹の整備に伴い昭和50年代に植えられ始めたようだ。

毎年4月の第1週、ジョージア州オーガスタでゴルフのマスターズ選手権が開催されるが各ホールには花の名前が付けられており、2番がPink Dogwood、11番がWhiteDogwoodである。11番からの3ホールはグリーンが特に難しく魔女がすむと恐れられており、別名アーメンコーナーとも呼ばれる。毎年テレビ観戦を楽しみにしているが、このグリーン周辺の白いハナミズキはちょうどマスターズに合わせたように満開となり、あたかも魔女の心を和らげているようだ。

昨年、わが家は増改築のため庭の木々を切らざるを得なくなったが、植えてから26年たつこの木だけは最初に見た感激が忘れられず残しておいた。今年も数百の白い花を付けて咲き満ちている。平和が永く続きますようにと歌う、一青窈のヒット曲「ハナミズキ」をハミングしながら見上げると、微風に花びらが揺れこたえてくれているようにも思えた。

清野正英